これからは、のびのび生きよう!

「他人が自分をどう思うか」より「自分が自分をどう思うか」の方が大事。これからは、もっとのびのび生きていきましょう!

派遣社員が辞めてしまった

半年ほど前の話になるが、部内の女性社員が産休に入り、派遣社員(以下Aさん)を雇うことになった。
Aさんは能力が高く、とても謙虚で責任感があり、仕事を頼んでも嫌な顔をせずやってくれる、
本当に素晴らしい人だった。

もともと人員が足りていない仕事量の多いポジションなので、大丈夫だろうかという不安があったのだが
Aさんはしっかり仕事をこなし、この人なら大丈夫だとすぐ安心することができた。
それどころか、慣れてくると私がいろいろ助けられることが多かった。

Aさんとは、物の考え方が似ていて話が合った。
私と似ていて、他人の言動や表情に敏感な人で、凄く周囲に気を使うタイプだった。
他人に頼むくらいなら、残業してでも自分でやった方が楽、と思うタイプだ。

一度、雑談でいろいろ話をする機会があった。
人に関わらないで一人でやる仕事をしたいとか、貧乏でも自分がそれでいいと思っていれば
お金持ちより幸せだとか、いろいろな話をした。

私が、「自分は20代の頃、わがままな性格で会社が続かなくて何回も転職をした。
それじゃいけないと思い、30代から今の会社をずっと続けている。
でも、自分は今の自分より20代の頃の自分の方が好きだ。」と言うようなことをいったら、
「その気持ち、凄くわかるような気がします」と言ってくれた。

リアルな人間関係でこのような話をしたことがなかったので、
聞いてもらえて、そして共感してもらえて嬉しかった。
そもそもこのような話をするという時点で、私はかなりAさんに心を開いていたのだと思う。

私の部署は少し危機を迎えていたのだが、Aさんの加入のおかげでなんとか乗り越えられそうな気がしてきた。
ところが、ある日突然、派遣会社から「Aさんがもう辞めたいと言っている」という連絡を受けた。
「仕事の量が多く、プレッシャーもあり辛くて体調を崩してしまったので、もう辞めたい」とのことだった。

突然と思ったのは私だけで、Aさんは随分前からいろいろ悩んでいたらしい。
仕事の量が多いこと、そしてそれがかなりのプレッシャーだったこと、
そして社内の人間関係でもいくつか困ったことがあったらしい。
Aさんは責任感の強い人だから仕事をきっちりこなし、また、周囲に気を使う人だから
自分が辛い素振りを見せなかったのだろう。

私は全く気づかず、安心しきっていた。
自分のことしか考えていなかった。
もっと早く気づいて、声を掛けていれば結果は違っていたかもしれない。
もっとAさんのことを気にかけて、日頃から声を掛ければよかったなと激しく後悔した。

正直、Aさんには辞めて欲しくないと思ったが、
Aさんもかなり悩んで辞めるという結論を出したと思うし、
体調を崩しているAさんを無理に引き止めるわけにはいかないなと思った。

先日、Aさんの最終出勤日だった。
Aさんは、体調が悪い中、最後まで次の人への引継ぎを丁寧にしてくれた。
やはり責任感のあるしっかりした人だなと思った。

最終日、みんなでランチをしたのだが、Aさんがとても楽しそうに笑顔で話していたので
よかったと思った。きっと解放感があったのだろうな。

最後の挨拶の時、買っておいたお菓子をAさんに渡した。
私はケチなので、滅多に人に何かを渡すということはしないのだが、
少しでも感謝を伝えたいと思った。
Aさんは喜んでくれた。渡してよかったなと思った。
Aさんは地元の有名な食べ物を私にくれた。
わざわざ買ってきてくれたのだろうか。嬉しかった。

「せっかくだから、好きなことをたくさんやってね」
最後にAさんに言った。
思わず泣きそうになってしまったが、まさか泣くわけにはいかない。
Aさんは笑顔で「ありがとうございます」と言ってくれた。


帰りの電車の中で、涙が出てきた。
いつもこうだな、と思った。
いい人は辞めてしまう。
この人は本当にいい人だなと思い仲良くなるとみんな辞めてしまう。
本当に見事なくらいにいつもそうだ。

自分ももう無理せず辞めた方がいいのではないだろうか。
ここにいたら、自分にとってのいい人と出会えないんじゃないか。
自分が魅力的に思える人が辞めていってしまうのだから、
自分も辞めるべき人間なのではないだろうか。
そんなことを思った。

喪失感で一杯だ。
こんな気持ちじゃ仕事なんてできないよと泣きたい気分(笑)
でも私が冷静でいられるのは、きっと仕事があるからなのかな、とも思う。
いろいろな思いがあるが、連休中に、なにかしらの意味づけをして、
自分の感情を消化したいと思う。