これからは、のびのび生きよう!

「他人が自分をどう思うか」より「自分が自分をどう思うか」の方が大事。これからは、もっとのびのび生きていきましょう!

私のあがり症歴(後編)

中編からの続きです。

 

話し方教室に通う

話し方教室は楽しかった

薬を飲むことで鼓動が早くなる症状を抑えることができ、
朝礼や会議はなんとかしのぐことができた。

とはいえ、薬は症状を抑えるだけなので、根本的な解決にはならないことはわかっていた。
ずっと薬を飲み続けるのも嫌だなと思った私は、自分を変えるために、
ネットで調べて、話し方教室に通うことに決めた。

当時、私が通った話し方教室は、週1回、1日2時間くらい、全12回の講座で、
受講料が45,000円ぐらいだったと思う。
今思うとけっこうな金額だが、当時の私はなんとかしなくてはと
藁にも縋る気持ちだったので、即座に受講することを決めた。

話し方教室は、実践型でスピーチをたくさんやった。
1回の授業で5回ぐらいスピーチをする機会があったと思う。

その他にも、みんなの前で
「抜きにくい釘、引き抜きにくい釘、釘抜きで抜く釘」
というような早口言葉を言ったり、
「安いよー、安いよー、○○の叩き売りだよー」とお店の安売りの声出しの練習をしたりもした。

話し方教室の私の通っていたクラスの生徒は15名ぐらいだったと思う。
年齢層はどの世代が多いということはなく平均的で、
当時私は28歳ぐらいだったが、私より若い人もいたし、年上の人もいた。
確か50代ぐらいの人もいたと思う。

みんな私と同じようにあがり症に悩んでいる人達なので、
すぐ打ち解けることができ、教室に通うのが楽しみになった。
授業の後に毎回飲み会をやるのが定番だったのだが、それが楽しみでもあった。

スピーチは多少は緊張はしたが、楽しく話すことができた。
もともと私は、あがり症のくせに目立ちたがり屋、というか、
自分の思っていることを発表するのは嫌いじゃなかった。

10回目ぐらいの授業の時、スピーチコンテストを行ったのだが、
私は優勝することができた。
たくさんの人に「よかった」と言ってもらい、嬉しかったし自信にもなった。

話し方教室ではうまく話せても、会社ではやはり緊張してしまう

でも、それであがり症が治ったわけではなかった。
話し方教室は、あがり症に悩んでいる人が集まるのでみんなやさしかった。
スピーチ中に緊張して詰まっても、「大丈夫、大丈夫」とみんな応援してくれた。
教室の空気がやさしい雰囲気だった。つまり居心地がよかった。

例えば、小学生10人の前で、スピーチをするのならそんなに緊張しないだろう。
それと同じような感じで、あがり症のやさしい人達のやさしい雰囲気の中だから、
あまり緊張せずにスピーチすることができただけのことだ。

会社はそのようなやさしい雰囲気ではなく、どちらかというと重い空気で、
なかには高圧的な人もいるので、話し方教室ではうまく話せても、
会社では緊張してしまいうまく話すことができなかった。

話し方教室での成功体験で、「自分はあがり症だ」という自分の意識を
書き換えることができればよかったのだが、そこまではいかなかった。
もう少し長い期間通えばよかったのかな? 
その辺はよくわからない・・・。

でも、話し方教室自体はとても楽しかったし、いい経験ができて、
今もいい思い出になっているので、行ってよかったと思う。

そして、今思うと、話し方教室のやさしい人達の前なら緊張しなくて、
会社の人達の前では緊張してしまう、というのはあがり症を治す
けっこう大きなヒントになりそうだなと思う。

話し方教室での心残り

ひとつ後悔しているのは、体調を崩してしまい、最後の授業を欠席してしまったことだ。
お世話になった先生にきちんとお礼の挨拶をしたかった。
それから、最後の授業の時に、スピーチコンテストの時の自分の映像のDVDを
もらえることになっていたのだが、欠席してしまったのでそれをもらうことが
できなかったのが残念だ。
今思うと、後日それだけでも、もらいに行けばよかったなと思う。

それから、話し方教室で仲良くなった人とは、その後も何度か飲み会をやったり
していたのだが、次第に連絡をとらなくなり疎遠になってしまった。
今思えば、滅多に知り合えないあがり症仲間で、せっかくの縁だったので、
もっと大事にしておけばよかったなと思う。
かといって、今更連絡するのも怪しまれるだろうし・・・。

余談だが、若い頃は縁の大切さを理解しておらず、
けっこう簡単に人間関係を終わりにしてしまっていた。
40代になったあたりから、「もっと若い頃のいろいろな縁を大切にしておくべきだったな」
と痛感している。

そして今・・・

その後は、月に数回、会議などで発表する時だけ、頓服で薬を飲んでしのいでいた。
そんな生活がもう10年以上続いている。

時々、思い立って関連の本を読んだり、ネットで教材を買ったりしたのだが、
「腹式呼吸をする」とか「念入りにリハーサルをする」とかテクニック的な話が多く、
もちろん参考になった部分もたくさんあったのだが、
根本的解決にはいたらず、あがり症は治らなかった。

私は今40代だが、やっぱり今でもあがり症だ。
というか、若い頃より今の方が症状が酷い。
今が一番酷いといっていいくらいだ。

若い頃あがり症で、でも歳をとって、若い頃より少し図々しくなって、
いろいろな経験も積んで、あがり症が治ったというのならわかる。
そういうパターンの人はけっこういるのではないだろうか?
でも、私の場合は全く逆だ。歳を重ねるごとに症状が酷くなっていった。

おそらく歳を重ねて、「いい歳してあがり症なんてみっともない」
「いい歳なんだから、うまく話せて当たり前だ」という気持ちが強くなったからだと思う。
 
症状が酷くなるのに反比例して、会社では役職もあがり人前で話す機会が増えていった。
これは辛かった。会議の回数も増えたし、3日間の外部研修に参加、なんてことも
あったりして緊張する場面が増えた。

会議で発表するのが嫌だから降格したいと思ったりもした。
あがり症に悩んでいる人は、けっこうそういう人が多く、能力があっても
自分の能力より低い地位にいる人がけっこう多いのではないかと思う。

そんなわけで、あがり症発症から現在に至るまでの私のあがり症歴でした。