これからは、のびのび生きよう!

「他人が自分をどう思うか」より「自分が自分をどう思うか」の方が大事。これからは、もっとのびのび生きていきましょう!

中くらいぐらい好き

小学校3年生か、4年生ぐらいの頃の話。

私は同じクラスのある女の子(仮名:田中さん)と仲が良かった。
休み時間にテレビ番組のことを話したり、一緒に遊んだりしていた。
特に異性を意識する年齢でもなかったので、普通に気が合ったのだと思う。

ところが、それをよく思っていなかったのか、ある女の子(仮名:細川さん)が、
ある日私に言ってきた。

「コレノビ君は、田中さんのこと好きなんじゃないの~?」と。

その場には田中さんもいた。
心配そうな顔でこっちを見ている。
私の返答次第では、クラス中の冷やかしの対象になってしまう。

私は、「別に好きじゃないよ」と答えた。
そうすると、細川さんは
「でも、いつも休み時間とか一緒だし。仲がいいし。好きなんじゃないの?」
としつこく何度も聞いてきた。

私は、何度か好きじゃないと否定した後、「普通だよ」と答えた。
こういう時、「田中なんか嫌いだよ」と答えるべきなのかもしれないが、
私は本人を前にして嫌いとは言えなかった。

「普通だよ」と私が答えた瞬間、細川さんが大喜びした。
「コレノビくん、田中さんのこと、中くらいぐらい好きなんだって~!!」
と大声で叫んだ。

クラス中が、おおぉーー!と盛り上がった。
なにがなんでも冷やかしの対象にしてやろうと思ったのだと思うが、
中くらいぐらい好き、というのは面白い表現だ。

田中さんが慌てて、「嘘でしょ? 私のこと嫌いなんでしょ?」
「ね? 私のこと嫌いだよね?」と私に言ってきた。

が、時すでに遅し。

「コレノビは田中のことが中くらいぐらい好き」とみんな大喜びで連呼している。
私は、「好きなんて言ってないよ。普通って言っただけだよ。」と言ったが、
当然聞き入れてもらえない。
「嫌いって言わなかったってことは、好きなんだよ」とクラスの中心的存在の男子に言われた。

今思うと、子供のなにがなんでもこいつをいじめてやろう、こいつを冷やかしてやろうと
思った時のエネルギーは凄いなと思う。子供なりに理屈を通すのだ。

私は、「これはまいったな」と思っただけだったが、田中さんは泣き出してしまった。
私は田中さんに嫌われてしまったと思った。
小学生とはいえ、女子の人間関係は男子よりもはるかに複雑で難しいものなのだろう。
申し訳なかったな、と思った。

それから、田中さんとは今までのように仲良くは話せなくなってしまった。
ただ、まったく口をきかないという風にはならず、少し距離ができてしまったものの、
普通に話をすることができた。
これは田中さんがやっぱり凄くいい人だったからだな、と今になって思う。

その後、5年生になってクラス替えがあり、田中さんとは違うクラスになってしまった。
その後、私は転校してしまったので、それっきりになってしまった。


この出来事が原因というわけではないが、私はその後、女性を好きになっても
自分なんかが好きになったら迷惑なのではないか?
私のこと好きなんてやめて。私のこと嫌いでしょ? そうだよね?
と言われたりしないだろうか、と思うようになった。

今思うと、「普通だよ」という答えは中途半端だったと思う。
「好きだよ、それが?」ぐらい言えばよかった。
もしくは、「嫌いだよ」と言えばよかった。
中途半端な回答は付け込まれる。大人になってからも。

田中さん、細川さんは当然仮名だが、私は今でも二人のフルネームを覚えている。
私にとって、印象深い出来事だったのだろう。

今の小学生はどうだろう?
女の子と仲良くしてると冷やかされるのだろうか?
それとも今の子は大人びているから、そんなことで冷やかす子供はいないのかな。
私には子供がいないのでよくわからない。

しかし、皮肉なものだな。
小学生の頃は気の合う女の子がいたのに、今はいない。
小学生の頃いなくてもよかったから、今そういう人がいればいいのに。
・・・なんてね(笑)

話がまとまらなくなってしまったので、この辺で終わります。