これからは、のびのび生きよう!

「他人が自分をどう思うか」より「自分が自分をどう思うか」の方が大事。これからは、もっとのびのび生きていきましょう!

がんばった自分は自分のもの

小学校4年生の頃だろうか、学校でなにかのイベントがあった。
そのイベントの最後に、クラスの誰かがラジカセを持ってきて音楽を流した。
流した曲は岩崎良美の「タッチ」だった。

私はまだその頃あまりテレビを見ていなかったので、漫画の「タッチ」のことは知らなくて
主題歌の「タッチ」を聞いたのも初めてだった。
いい曲だなと思いながら聞いていたのだが、クラスのほとんどの人が、曲を聞きながら一緒に口ずさんでいた。
「えっ、なんでみんな唄えるの? なんでみんな歌詞を覚えてるの?」と私は驚いた。

それ以来、「タッチ」に興味を持った私は、さっそく漫画の単行本「タッチ」を購入した。
そしてその年の誕生日に、岩崎良美のカセットテープを買ってもらった記憶がある。
(当時はまだレコードプレーヤーを持っていなかった)
そのカセットテープは、「タッチ」と「君がいなければ」が収録された8曲入りのアルバムだった。
当然「タッチ」目当てで買ってもらったのだが、他の曲もいい曲が多く、非常にいいアルバムだったと思う。
今も発売されているなら購入したいくらいだ。

その後、「タッチ」の単行本を買い集めていき、並行してあだち充の他の漫画も読むようになった。
あだち充の漫画では好きな作品が多いが、個人的に一番好きなのは、「夕陽よ昇れ!!」だ。
短い作品だが、主人公夕子のまっすぐな想いがいい。
彼女の感情がうまく表現されていて感情移入してしまう。
今も単行本が手元にあるので、たまに読み返して、うるっときてしまう。

それから「H2」も好きだ。
H2は、メインストーリーももちろんいいのだが、各脇役のストーリーがたくさん描かれていて
そこが凄くいい。特に良かったのは木根の甲子園での完投シーン。あれは泣けた。
「誰のためにがんばっても、がんばった自分は木根くんのものよ。」というセリフは心に響いて、
自分の中で忘れられない言葉になった。

例えば、仕事で一生懸命資料を作ったとする。
誰かがその資料を自分が作ったふりをして、社長に褒められたとする。
手柄を横取りされた気分だが、その資料を作る過程で身についた知識や技術は自分のものだ。

好きな女性に振り向いてもらうために、一生懸命がんばったとする。
でも、結局、その女性には振り向いてもらえなかった。
無駄な努力だったかというとそうではない。
誰にもわかってもらえなかったとしても、がんばった自分は自分がよくわかっているし、
成長した心は自分のものだ。

ドラマ「下町ロケット」で、
「たとえ裁判に負けても、特許が奪われても、金のことしか頭にない者にこの技術だけは奪えない。」
というセリフがあったが、まさにその通りだなと思う。

私は長い期間会社勤めをしてきて、「お金を稼いだだけで何もいいことはなかったな」とか
「今までがんばってきた自分は一体なんだったのかな」などと思うことがあるが、
がんばって身についた知識や技術、心の成長というのは確かにあるなと思う。
それは嫌でも捨てることができない。一生自分の物だ。

あだち充は現在「MIX」という漫画を書いているらしい。
こちらはまだ読んだことがないが、懐かしの「明青学園」が舞台の漫画らしいので
読んでみたいなと思う。